山梨百名山日記

山梨百名山を無いボキャブラリーで精一杯伝えます。

二十六夜山

十六夜山という名前の山は道志山塊に二つ存在しており、山梨百名山に選ばれている二十六夜山は秋山二十六夜山とも呼ばれている。

もう一方は道志二十六夜山と呼ばれており、近い場所に同じ名前の山が二つも並んでいるので、てっきり道志二十六夜山の方を山梨百名山だと勘違いしていた事もあった。

アオゲラの森キャンプ場から登山を開始したが、タイムはピストンで3時間かからないほどの短いコースだった。

やはり道志山塊とは縁が無く、この日も曇り気味の天気で中々景色が望めなかった。とは言っても元々山頂からの景色はそこまで良くないので、あえて曇りの日にこの山を選んだと言っても過言ではない。

そしてこの山塊の定番となりつつある急激な登り。

距離が短い代わりに一気に標高を稼ぐタイプの山が多く、コースタイムを厳しめに設定していくとやはり痛い目に会うだろう。

ただ、いつ言っても比較的静かな山行を楽しめるという利点もある。

天気が良い日は南アルプスを望むことも出来るので、景観で飽きることは無いだろう。

山梨百名山を目指すからこそ登ることができる山、そんな気がする。

この周辺は計画次第ではルートを自由に設定できるので、今後電車とバスを利用して色々なルートを設定して見ようと思う。

九鬼山

九鬼山は山梨百名山であり秀麗富嶽十二景にも選出されている。

登山口が数カ所あり、いずれも2時間ほどのコースタイムとなっているので気軽に登ることができる。

しかし、この山塊の特徴とも言えると思うが、低山だと油断してかかると急坂で痛い目に会うことになるだろう。

この日は九鬼山~高柄山への縦走を計画して登山に臨んだが、天気は小雨。

この日しかないと決めていたのでエスケープルートを数か所確保して、山行を開始した。登山口が多い為、エスケープルートを幾つか設けることができるので中距離のトレイル計画が立てやすいのもこの山塊の特徴だ。

しかし、東京から近いとは言えそこまでメジャーな山でないため、九鬼山~倉岳山手前の高畑山へつなぐ稜線は荒れており、快適な登山を楽しむためにはある程度の整備も必要かな、と感じた。

九鬼山山頂へは少し飛ばして1時間30分程で到着したが、景色は望めず、山頂で少し息を整えていると雨がポツリと落ち始めた。

携帯のお天気レーダーを見ながら高柄山までの縦走は半分諦め、次のピーク高畑山へと向かった。

しかし、先へ進めば進むほど雨脚が強まる。

途中木々が立ち並び開けた稜線を歩いているときは最高の気分だったが、

トレイル上には小川が流れはじめ、遂には土砂降りの雨へと変わっていった。ほんの30分前の最高な気分は一瞬にして損なわれ、急いで高畑山へ登る一つ前の林道に降り、雨宿りができそうな小さな神社へ駆け込んだ。

一向にやまない雨にしびれを切らし、ビショビショになりながらもスタート地点までの10キロの道を走ったり、立ち止まってはまた走りを繰り返した。皮肉なもので、車に駆け込んだ瞬間青空が広がり、温泉から出てきたときには先程の雨がウソのような日差しが差し込んでいた。

地元の山だと言うのに、この山塊とはめっぽう相性が悪いようだ。

高柄山

高柄山は東京からも近い上野原からの登頂が最も人気のあるルートである。この日はあまり時間がなかったので最短で登れるコース、四方津駅からのピストンで挑んだ。

暫く民家と、林道の単調なルートを辿っていくと、グラデーションのように自然と登山道へとたどり着く。

さて、登山開始だと意気込むと目の前には1人の男性が歩いていた。

この山では人にすれ違わないだろうな、と思う山ほど不思議と誰かとすれ違い「今日は誰とも会わないと思いました」という会話をするのは何故だろう。

穏やかに川が流れる登山道は、真夏の暑い日に来れば体を冷やすにはもってこいのスポットであり、静かな登山道に自然のBGMが加わり足取りが軽快になる。

そんなことを思いながらゆっくり登る時間もつかの間、気がつくとそこは急登続きの登山道へと変化していた。

ひたすら単調な登り坂を楽しむために、じっくり目を凝らして地面を観察し、周りの木々を見て歩いた。

地面には沢山のザトウムシが闊歩していた。ザトウムシは大きく分類するとサソリの仲間で何万年と姿を変えずに生息しているようだ。

やがて、倉岳山と高柄山をつなぐ稜線にたどり着いた。

この山塊の稜線は少し歩くとすぐに表情を変える印象が強い。

根が張り詰めていて歩きにくい道、急な坂かと思えば急激に下り、

「またここを登り返すのか・・・」と気が滅入ってしまうこともある。

最後の坂道を登りきると、山頂にたどり着いた。

生憎この日は曇り気味、富士山は望めなかった。

次回は上野原側から晴れた日に登ってみようかなと思い下山した。

岩殿山

大月駅から見上げると、低山とは思えない大迫力の岩肌を見せつけている山が岩殿山である。

岩殿山登山者専用の駐車場に車を止めてスタート。

専用の駐車場があることは、非常に助かる。

老若男女広い世代で楽しむことのできるハイキングコースは、それこそ登山特有の辛さを味わうことは出来ないが、稚児落しや道中の岩肌を見て自然の雄大さを実感できる。

ただし、油断は禁物である。

私は体力的に余裕だろうと、予定コースタイムを早く見積もってしまった

せいか、焦りが出てしまい稚児落しとの分岐手前で全く違う場所を下ってしまった。慌てて登り返し、よく見るとしっかりと分岐の看板が立っているのを確認し、あらためて自分の登山レベルの低さを実感した。

この経験が悔しかったからこそ、その後の登山に繋がったのではないか。

気を改めて稚児落しに近づくと不思議な事が起こった。

前日台風が接近したのもあり、この日は登山者とはすれ違わないだろうなと思ったのだが、稚児落しの丁度上からこちらに向けて1人の男の子が手を降っている。その横で軽く会釈する母親もこの目で確かに確認した。

ところが、稚児落しについた頃には誰もおらず、下山するまで結局一人としてすれ違った人は居なかった。

稚児落し、かつて役人に追われた女性が逃げ場を失いそこから我が子を投げ、自らも身投げしたという言い伝えがある。その2人が、私の目の前に現れたのであろうか。

百蔵山・扇山

扇山、百蔵山は登山をしている者でなければその名を答えられる者はいないだろう。ただ、中央道を東京方面に通過するときに左手に綺麗に二つの弧を描くようにそびえ立つ山がこの二山である。

今回は、大月にあるウェルネスパークという公園の駐車場から山行を開始した。この公園からのスタートは最近大月市が行っているトレイルランニ

ング大会のスタート地点でもある。

ウェルネスパークに車を置き、最初に目指す山は百蔵山だ。市街地を延々と歩き大月の体育館を通り過ぎ、急坂を登り切ったあたりから登山道が始まった。途中和田美術館という一般公開をしていない、不思議な雰囲気をまとった美術館を通り過ぎる。

記録には見ていたが、実際に横を通ると誰が経営しているのか、誰が見に来るのだろうか益々不思議な美術館だ。

その後は緑深い山道を歩いて行く。途中の水場に喉を潤し、秀麗富嶽十二景にも選出されている百蔵山の山頂を楽しみに高度を上げた。

ついに山頂、辿り着いた百蔵山では女性二人が美味しそうな食事を作り富士山を眺めながら語り合っていた。

常に単独行動の自分にとって少し羨ましい光景に嫉妬した。

さて、嫉妬して下山してしまおうなんて思わずに、その光景から目を逸らすかのように富士山に穴が空く程その景色を見続けた。

ちなみに、この山には桃太郎伝説が残されているがここでは割愛する。

次に目指すは扇山。

この調子で行けば体力的にも余裕だろうと思ったのが間違えだった。

一度下って再度高度を上げるのだが、そこが非常に体力勝負になった。

百蔵山で気が付かない間に蓄積されていた疲労がこの登り返しで再発したのだろう、不規則に生える木の根っ子にも邪魔されながら脚を抑えてようやく登頂した扇山では広い山頂が待っていた。

広い山頂から見渡す富士山は達成感も加わりすごく印象に残っている。

ここで食事を取り、下山した頃には夕方になっていたがよく仲間と夜中星を眺めに来ていたウェルネスパークを基点にこれほど充実した山行ができることは目からうろこだった。

権現山

権現山を登るのに一番困難したのは駐車場の場所を探すことかもしれない。マイカーで登山する私にとって、登山口に駐車スペースが無いのは致命的だ。それでも、集めた情報から申し訳なく路駐させて頂き、山行が始まった。

この日の天気は、曇。今にも雨が落ちてきそうなどんよりとした中、山頂の景色は諦め道中に咲く花、木々達を楽しんだ。

天気が悪くなければ気がつかないような、くねくねと曲がりくねった木や、動物の足跡。自然に受け入れられながら山を登っていることのありがたさを再確認できた山行になった。

おすすめの山とは一概には言えないが、それでも自然の素晴らしさを教えてくれる色々な意味で深い山である。

三頭山

三頭山は山梨県と東京都の堺にある山で、東京都にとっては都会のオアシスとして親しまれている。

今回は東京都側、檜原村都民の森からのスタート。

都民の森は流石東京の管理ということもあり、細かいところまで整備が行き届いていた。

この日の天気は曇のち雨、午後から雨が降る予定だった。それにも関わらず、起きた時間は10時駐車場に着いたのは12時という余裕ぶりだ。

久しぶりのトレイルランニングスタイルで快適に山を登っていく。

1時間ほどで三頭山の東峰にたどり着いた。山梨百名山の道標を探すが何処にもない、どうやら西峰にあるようだ。ここで初めて登山者とすれ違う。

山梨の里山の平日で雨予報が出ていれば大抵人とすれ違わないので、

どこか新鮮な気持ちにもなった。

曇のち雨と言っていたものの空模様は次第に快晴に向かっている雰囲気に安堵しながらついに西峰に到着した。

時間にして1時間15分ほどの短い登りだった。

山梨百名山の道標はひっそりと木の影に隠れて立っていた、やはり都会の力にはかなわないのだろうか。

そんなことを思いながら結局ガスってしまった山頂を後にすることにした。新しいシューズの下山しやすさに感動もつかの間、天気予報通りの雨が降ってきてしまった。

足場の悪い岩の足場をなるべく早く下っていく。

里山と違い道の整備はされているが赤テープが少ないため少し不安な気持ちがあったが林道にたどり着くことが出来た。

林道からは気持ちの良いウッドチップの敷かれた道を歩き駐車場へと戻った。

駐車場に戻った頃には雨は止み、強い日差しが照りつける程に快晴になった。1時間30分ほどの短い登山で晴れ曇り雨全てを経験する珍しい山行だった。